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セキュリティ情報の提供
Cyber Security Information
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〜Winnyと情報管理について〜
昨今、Winnyを含めたファイル共有ソフトからの情報漏洩が大きな社会問題になっています。急遽、セキュリティポリシーを含めた管理体制の見直しを図る組織は数多くあり、ファイル共有ソフトの使用禁止等の措置が取られたものと思われます。
ただ、懸念される事として、これらのファイル共有ソフトを導入する動機としては、多くの場合著作権に抵触する可能性の高い、ソフトウェアや音楽データ等を無料で入手し利用したいという気持ち
があるのが現実でしょう。個人の使用においては複写等が認められているものでも、ファイル共有ソフトで共有状態に置くとなると、前述の認められた個人使用を超えた使い方になり、著作権に抵触する事例も出てきます。
この様な行為を行った者に関しては、著作権者から損害賠償請求をされるケースが度々起こっています。例えば社団法人日本レコード協会では、ファイル共有ソフトを用いて著作物を共有可能な状態においたユーザの個人情報開示をプロバイダに求め、開示されたユーザ7名と各レコード会社で平均45万円の損害賠償金の支払い合意がされています。
もう一つ、問題視しなければいけないこととして、技術的なコンピュータセキュリティの限界についての認識を持っていない人が多いという事です。任意のファイルをダウンロードして、手動で走らせた(映像・音楽として再生する、画像として開く等)場合、そのファイルが「巧妙に作られた不正プログラム」であったならば、見かけ上の機能を提供すると共に、不正な情報収集やパソコンのコントロールをユーザに気付かれず行う事が可能です。これは、いわゆるウイルス対策ソフト等でカバー出来る範囲を超えています。
ウイルス対策ソフトの根幹の原理はパターンマッチングであり、ウイルス固有のパターンの登録によってウイルスファイルを識別するというものですが、個別にカスタマイズされた不正プログラムは単一の機会、用途で用いられるのであれば、当然パターン登録・検出の対象にはなりません。現在のウイルス対策ソフトはメモリ上の異常な書き込みや外部へ発信される情報を監視する機能を付随しているものも多いのですが、正規のソフトウェアとの識別が個人の判断に任せられるケースも多く、単純なウイルス検知とはかなり様相が異なっています。結局はコンピュータの内部にある程度の知識を備えた人が扱う場合でなければ、これらの機能に十分な効果は期待できないと言えるでしょう。
結局、ダウンロードしたプログラムを起動した場合、最悪のケースとして起動時点で保存されていた全てのプライベート文書、業務文書が盗まれ、それ以降気付かずにパソコンを使い続けていると、入力した全ての情報が他人の手に渡るという可能性があります。特に発信者の匿名性が保たれ、こういった不正プログラムが抵抗なく(疑念を抱かせず)動作させることが容易であるという理由から、一般のWebサイトよりも多くの不正プログラムがファイル共有ソフトで正規のプログラムや映像に紛れて流通されているというのが現実なのです。
ファイル共有ソフトを取り巻く状況は、この様に非常に危険が多いということを十分肝に銘じて下さい。
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茨城県警察ハイテク犯罪対策室
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